夜の静けさに寄り添ってくれる本『animus』

※著者の方に掲載許可をいただいています。

今回お迎えしたのはなんだか不思議で、でも、読んだ後に心の中のグレーな部分がスッと軽くなるような本です。

著者の文雲てんさんが、どこか遠くの街で言葉を紡いでおられるのだろうと、ぼんやり考えるような本でもあります。

やさしいけれど芯のある本

今回引用させていただくのは、「『animus』のあとがきのようなもの」に書いてあったこの本についての言葉です。

詩集でも歌集でも写真集でもエッセイでもあり、そうでない、なんだかわんぱくな本になりました。このどこか不完全な感じが気に入っています。

この本には写真もあれば、エッセイのような文章もあり、短歌のようなものも添えられています。

その曖昧さを「なんだかわんぱくな本」と表現しているところが、きっと文雲てんさんの中にある少年少女のような部分を覗かせているのではないかと感じます。

本の中に出てくる写真は、意識して捉えないと切り取ることができないような生活の一部たち、そして生活の中に隠れているようなものたち。

生活をただ撮って載せただけ、というよりはそれらを丁寧にラッピングして本として完成されているようだと思いました。

誕生日プレゼントほど盛大ではないけれど、日常のちょっとしたおみやげをもらったような感じです。

本の中をゆっくりと流れる、ほんのり切ない空気とあたたかい余韻が夜の静けさにピッタリです。

内容を知っていても、何度でも読みたくなる文章だと思っています。

タイトルとURLをコピーしました